主な内容
日本は一時は世界経済の機関車と呼ばれていたこともありますが「機関車」は、日本の工業技術の発展を語るうえで欠かせない存在です。本書では内外の電気機関車とディーゼル機関車について、その構造と技術の発展の経過、各国の状況とメーカーの変遷などを長らく車両の開発・設計に携わってきた2人の著者が詳細に解説しました。
改訂版では、旧版から2年間の世界情勢の変化、たとえば中国での各社勢力の変化と生産の急減、インドの技術導入の開始、ヨーロッパ3強ではボンバルディアの経営問題、主なメーカーの現地生産と投資の進展、とくに目覚ましいディーゼル機関車でのGEの進出などが追加され、技術的には粘着の解析に関することやスイスの状況と操舵台車のことが追加されています。
【改訂版発行にあたって】
2年前に初版を出版して、各位から種々のご意見とご指摘をいただいた。データや記述事項も修正の必要があると思われたこともその後いくつか出てきたし、ご指摘いただいた事項もあり感謝する次第である。このたび再版されることとなったが、読み返してみると2 年間の間に技術的にはそれほど大きな変化はなかったが、各国の機関車の状況にはかなり変動があった。とくにヨーロッパの三強では、大発展していたボンバルディアが航空機事業の赤字の影響で売却や合併の話が出てきたし、中国は機関車を2006年以降に各国から新しい方式を技術導入し9,000両を製造したが、2016年以降には需要が減ったか生産が急減した。南アフリカには中国が進出し、インドにはフランスが電気機関車を800両、GE からディーゼル機関車1,000両を輸入・現地生産する計画など、ここも方向が決まってきた。
これらのため出版社と打合せ、できる範囲で追加修正し改訂版として再版することとなった。ページ数は大幅に増やさない程度で、できるだけ修正追加したつもりである。不十分なところもあるがご了承をお願いしたい。なお、写真については、初版に提供いただいたカバー写真を含め何枚かを新しいものに替えさせていただいた。