主な内容
・原子力界の重鎮が事故の全貌に迫る
・事故の様相はこの本によって解明された --有馬朗人
原子力発電と原子力安全の専門家で、旧・日本原子力技術協会(現・原子力安全推進協会)元理事長の石川迪夫氏が、これまで培った知見を用いて東京電力福島第一原子力発電所事故の各種データを読み解き、複雑な事故の全容解明に挑んでいます。
石川氏は、米独日仏でかつて行った燃料棒などでの安全実験、米国スリーマイル島原子力発電所事故、旧ソ連チェルノブイリ発電所事故の事実を基に、福島第一原子力発電所で何が起こったかを、各号機のデータを分析しています。
事故の考証を行う第一部、その考証から原子力安全にどう役立てていくかを論ずる第二部に分かれています。
第一部第2章では各号機について一つ一つ読み解いていくが、事故があまりにも複雑なために、1号機の考証をいったん中断し、2号機、3号機の考証を終えてから、1号機に再び戻り論証しています。これは、チェルノブイリ事故を読み解いた石川氏といえども、福島第一事故の解明は難しかったことがうかがえます。
福島第一原子力事故の真相に迫る考証です。原子力に携わる人々の必読の書といえるでしょう。