書籍詳細のご紹介

新しい国際私法 新刊のご紹介

一問一答
新しい国際私法
  法の適用に関する通則法の解説
編著者
小出邦夫
発行所
商事法務
定価
2,730円(税込)
ISBN
4-7857-1352-6
発行日
2006年9月9日
判型
A5
頁数
202
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主な内容

帯より
国際取引の基本となる国際私法のルールを全面改正!

 準拠法決定に関するルールを定めた法例の約100年ぶりの全面改正。国際取引が 日常化するなか、契約、不法行為、債権譲渡の準拠法等に関し、国際的な法制の調和 をめざし、消費者等の弱者保護や、取引実務のニーズにも配慮した抜本的な見直しが 実現。

 法改正の全貌を立案担当官が一問一答形式で詳細かつ平易に解説する。


はしがき

 平成18年6月15日,第164回国会において,「法の適用に関する通則法」が 成立し,同月21日に公布されました(平成18年法律第78号)。「法の適用に関す る通則法」は,我が国の国際私法の現代化を図るため,諸外国の法制を参考 にして,法例(明治31年法律第10号)中の財産法分野の規定を中心に見直しを 行うとともに,国民に分かりやすい法律とするため,法律の表記を片仮名文 語体から平仮名口語体に改め,「法例」という法律の題名についても,「法の 適用に関する通則法」と現代用語化したものです。

 改正法の主な内容として,法律行為の準拠法については,当事者の準拠法 選択がない場合には,法律行為に最も密接に関係する地の法によることとし, 消費者契約および労働契約について消費者および労働者保護の観点から特則 を設けています。不法行為の準拠法については,原則として結果が発生した 地の法によることとし,生産物責任および名誉・信用毀損についての特則を 設け,また,当事者による準拠法の変更や柔軟な準拠法決定のための例外的 な処理を可能にしています。債権譲渡の準拠法については,債務者その他の 第三者に対する効力について,譲渡対象債権の準拠法によることとしていま す。以上のほか,隔地的な法律行為の方式,行為能力の制限に関する取引 保護,後見開始の審判等および失踪宣告,外国人の被後見人に対する日本法の 適用などについての規定を整備しています。

 国際私法は,準拠法を決定するルールであり,法律関係についての具体的 な法律効果を直接帰結するものではありませんが,その適用観囲は非常に広 範であり,国際化が進展した現代の社会生活に与える影響はきわめて大きい ものと思われます。

 本書は,この「法の適用に関する通則法」について,その成立に至る経緯 および法例からの実質的な改正部分を中心に,一間一答形式により,その概 要を簡潔かつ平易な表現で解説したものです。

 本書の執筆は,法務省民事局で立案事務等に関与した,湯川毅民事局付, 和波宏典前民事局付(在オランダ日本大使館一等書記官),大間知麗子前民事 局付(弁護士・外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ),北澤安紀前調 査員(慶應義塾大学法学部教授),朝山泰秀補佐官,東方良司法務専門官,宇 津木克美係長,渡辺宝之主任,石川英一,大西宏道の各係員が分担して行い, 全体の調整を編者が行いました。

 本書の刊行に当たっては,株式会社商事法務の坂井清氏に献身的なご協力 をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第です。

 本書が大学関係者や国際取引等に携わる実務家の方々に幅広く利用され, 「法の適用に関する通則法」の趣旨・内容の理解の一助となれば幸いです。

平成18年8月

法務省民事局参事官

小 出 邦 夫


主な目次

第1部 総 論
 
Q1 「法の適用に関する通則法案」の国会提出に至るまでの経緯は、 どのようなものでしたか。 
Q13 改正法においては、どのような実質改正がされているのですか。
 
第2部 各 論
 
第1章 総 則
Q14 第1条の規定の趣旨はどのようなものですか。
 
第2章 法律に関する通則
Q15 第2条の法律の施行期日に関する規定の趣旨はどのようなものですか。
Q16 第3条の法律と同一の効力を有する慣習に関する規定の趣旨はどのよう なものですか。
 
第3章 準拠法に関する通則
 
 第1節 人
Q17 自然人の能力の準拠法については,どのような改正がされたのですか。 (第4条関係)
Q34 失踪宣告の国際裁判管轄および準拠法に関する諸外国の立法例は どのようになっていますか。(第6条関係)
 
 第2節 法律行為
Q35 当事者による準拠法の選択に関する第7条の趣旨はどのようなもので すか。同条の単位法律関係について「法律行為」を維持した理由は何ですか。(第7条関係)
Q80 労働契約における労働者保護に関する諸外国の立法例はどのようになって いますか。(第12条関係)
 
 第3節 物権等
Q81 物権に関し、移動中の動産および鉄道車両・自動車等のいわゆる走行 性動産について、特則規定を設けないとした理由は何ですか。(第13条関係)
Q85 物権の準拠法に関する諸外国の立法例はどのようになっていますか。 (第13条関係)
 
 第4節 債 権
Q86 事務管理および不当利得の原則的連結政策について、 原因事実発生地法による旨の規律を維持する理由はどのようなものですか。 (第14条関係)
Q131 債権譲渡の準拠法に関する諸外国の立法例はどのようになって いますか。(第23条関係)
 
 第5節 親 族
Q132 婚姻の方式について、いわゆる日本人条項を維持した理由は 何ですか。(第24条関係)
Q145 生殖補助医療によって出生した子の親子関係について、 特則規定を設けない理由は何ですか。
 
 第6節 相 続
Q146 相続に関し、被相続人による準拠法選択を認めるべきだった のではないですか。(第36条関係)
Q149 遺言の準拠法の関する諸外国の立法例はどのようになって いますか。(第37条関係)
 
 第7節 補 則
Q150 第40条第2項は、常居所地が人的不統一法国である場合 のうちの一部を規律の対象としていますが、この改正の趣旨はどのようなものです か。(第40条関係)
Q152 反致に関する諸外国の立法例はどのようになっていますか。 (第41条関係)
 
第4章 その他関係
Q153 絶対的強行法規の適用に関する規定を設けなかった理由は 何ですか。
Q157 海事に関する法律関係の準拠法について規定を設けなかっ た理由は何ですか。
 
第5章 附 則
Q158 改正法はいつから施行されますか。(附則第1条関係)
Q160 今回の法改正に伴い、どのような整備が必要になった のですか。(附則第4条以下関係)
 
資料1 法の適用に関する通則法新旧対照条文
資料2 整備改正事項関係新旧対照条文
事項索引

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